呼吸のように・・・

俳句のエッセー

卒業

中学の卒業は爽やかだった私だが、
高校は、卒業式が始まる前から涙ぐんでいた。

高校生も終わりに近づいたころ、
先生が、一人ひとりにスピーチをさせた。
恒例なのだそうだ。

内気な子が最初に当たったため、お話ができず、
結局クラス全員が話すことはできなかったが、
先生が締めてくださった。

「近頃の生徒は、個性的な子が少なくなった」、と言う。

「かつては、1年間、授業中の内職だけで、
 こ〜んな大きなレースのテーブルクロスを作った子もいたけど、
 そんな生徒は、いなくなりましたね。」

本気で残念がっている。

なんだ、それは!
それは、何だか…とにかく、全くおかしな話ではないか。

どんな価値観で動いている学校だったのだろう。
確かに、個を大切にする校風に違いなかった。
だから、私のような人間ができてしまったのだろうし、
私がとても楽しかったのだろうと思う…

なぜか、そう、受け入れてしまった。

心から「ありがとう」と言える学校に出会えたことを、
ただ感謝している。