呼吸のように・・・

俳句のエッセー

バレンタインデー

一日の終わりに、甘いものが食べたい…と思って、
通りすがりのお店でチョコレートケーキを買った。

家に戻り、いざ、食べよう!としたところ、
真中に、真っ赤なハートの装飾が突き刺さっていることに気付いた。

あ、バレンタインデー…

バレンタインデー用のケーキだったのだった。
それにしては、賞味期限は明日までです、と店員さんが説明していた。
バレンタインデーは、4日も先なのに、合わない。

私は、イカレた若いころを、バブル期に過ごした。

あの頃は、5倍返し、10倍返し、などという言葉も流行り、
義理チョコで、職場の男性を悩ませたものである。

それでも、皆、楽しんでいて、
係長は、独身の主任よりもチョコの数が多かった、と言っては、
「自分の方が人望がある」などと、大喜びしていた。

一ヶ月後のホワイトデーには、かなりの出費に涙したことだろうが、
それはそれで、お祭り騒ぎのようなもの、楽しかったと思う。

今では、義理チョコも、
怪しげな代物として警戒されるに違いない年齢となってしまったため、
一切、贈らない。

ムツカシイ年頃なのだ。